SEO記事を作るのに時間がかかりすぎて、手間もかかる…そんな悩みを抱えていませんか?その解決策として、私たちは「Dify x Google Apps Script x LLM」を組み合わせた自動生成ツールを開発しました。このツールを使えば、キーワードやトピックを入力するだけで、検索エンジン向けに最適化された記事を自動で作成できます。
このツールの活用により、今までかかっていた時間を大幅に短縮し、生産性を向上させることが可能です。また、DifyとAI技術の力を借りることで、SEOの専門知識がなくても簡単にカスタマイズされたコンテンツが作れます。
思考の流れ
次に、このツールを作成するに至った「思考の流れ」についてお話しします。何を目指して、どんなステップを踏むべきかを考えるため、いくつかの重要な質問を設定しました:
- このテーマの主要な目標は何か?
- ユーザーが現在持っているもの、そして必要としているものは何か?
- ユーザーの必要としているもの(出力)を得るためには、どんな手段を使えばよいか?
- ユーザーがこのワークフローを簡単に使えるようにするにはどうすれば良いか?
まずは「このテーマの主要な目標は何か?」についてです。答えは明確で、SEO記事を自動生成するワークフローを構築することです。
次に「ユーザーが持っているもの、そして必要としているもの」です。ユーザーが最初に持っているのは、記事のテーマに関連するキーワードです。このキーワードを基に、SEO記事生成のプロセスを開始できます。また、出力する内容としてユーザーが求めているものは3つ:テーマについてのリサーチ、記事の見出し、そして最終的なSEO記事です。
「ユーザーが必要としているものを得るにはどんな方法を使うか?」に対しては、Difyの活用が一般の方には最も簡単で効果的だと考えました。DifyはAIアプリケーションの開発や展開を最適化するためのノーコードプラットフォームで、スマートアシスタントの構築やプロセスの自動化、そして言語モデル(LLM)の活用が可能です。Difyを使えば、記事の生成プロセスが効率的に自動化できます。
最後に、「ワークフローをユーザーが簡単に使えるようにするには?」ですが、Google SheetsとApps Scriptの組み合わせを使うことで、ユーザーがDifyのワークフローとインタラクションできる環境を整えました。Google Sheetsはユーザーにとって身近で扱いやすく、さらに出力内容の追跡や編集にはGoogle Docsを併用することで、使いやすさが向上します。Apps Scriptを活用して、生成された記事の内容をDocsに記載し、そのリンクをGoogle Sheetsに表示する形にしました。また、ユーザーがワークフロー内で特定のリクエストを追加できる入力フィールドも提供しています。
ツールの紹介
ここでは、SEO記事自動生成ワークフローで使用した2つの重要なツール、Dify AIとGoogle Apps Script (GAS) についてご紹介します。
Dify AI
Difyとは?
Difyは、AIアプリケーションの開発や活用をシンプルにしてくれるノーコードプラットフォームです。AIモデルの作成や管理、他のシステムとの統合を簡単に行えるため、Difyを使えばスマートアシスタントの構築や業務の自動化が可能になります。特に、言語モデル(LLM)と呼ばれるAI技術を使うことで、ビジネスに新たな価値を加えられるのが特徴です。
Difyはどのように動作しますか?
Difyは、誰でも直感的に使えるインターフェースを備えているため、AIアプリケーションの開発が非常に簡単です。例えば、AIの動作をカスタマイズするツールやデバッグ機能が用意されており、プロセスの細部まで調整可能です。また、Google検索やDALL-Eといった他のAIツールを組み込んだり、独自のツールを追加することもでき、さまざまなシステムやサービスと連携して機能を拡張できます。
Difyのメリット
Difyを活用すると、AIアプリケーションの開発が効率化され、業務スピードも向上します。AIの力を活かして業務効率やビジネス価値を高めるだけでなく、Difyは柔軟性が高いため、さまざまな業界や利用シーンに合わせて調整が可能です。どんなニーズにも対応できる点がDifyの大きな魅力です。
Google Apps Script (GAS)
Google Apps Script(GAS)は、Gmail、Googleスプレッドシート、Googleドキュメント、GoogleドライブといったGoogleアプリの作業を自動化できるツールです。簡単に言えば、手作業の代わりにコンピュータに一連の指示を出して、自動で業務を進める仕組みです。
例えば、Google Apps Scriptを使うと次のようなことが可能です:
- 特定の時間に自動でメールを送信
- スプレッドシートの数値を自動更新
- Googleドライブ内のファイルを自動で整理
特別なソフトのインストールも不要で、ブラウザから数行のコードを入力するだけで自動化がスタートします。プログラミング経験が少ない人でも使いやすく、日常業務の効率を飛躍的に高めることができるのがGASの魅力です。
フローの概要
ここでは、Dify、Google Apps Script(GAS)、および生成AIを活用したSEO記事自動生成フローについて解説します。
以下のステップで、SEO記事が効率よく自動生成されます。
1. SEOテーマキーワードを入力する
まず、Google Sheets内の特定の列に「SEOテーマキーワード」を入力します。このキーワードは、以降の「リサーチ」「見出し生成」「記事生成」の3つの機能で使用されるインプットとなります。
今回使用するインプットは以下の4つです:
- テーマキーワード(必須)
記事のテーマに関連する主要なキーワードを入力します。これが自動生成の基本情報となります。 - カスタムの指示(任意)
各機能に対するユーザーのカスタム指示です。例えば、リサーチ内容に特定の情報を含めたい場合や、記事に特定のトーンを持たせたい場合に入力します。入力がない場合でも、LLM AIに設定済みのガイドラインに従ってSEO記事が生成されるので、気軽に使い始められます。 - 最小文字数&最大文字数(任意)
記事の各文章(各見出しごと)における最小・最大文字数を指定するフィールドです。これにより、記事の分量を調整しやすくなります。 - 参考記事(任意)
参考にしたいSEOコンテンツのURLや例を入力することで、記事の方向性やスタイルに影響を与えることができます。
2. Google Sheetsに結果出力
各テーマキーワードごとに、以下の項目が自動的に生成され、シートの該当列に出力されます。この手順を踏むことで、SEO記事の作成がスムーズに進行します。
- リサーチ結果
テーマキーワードに基づくリサーチ内容が自動的に出力され、記事内容の基礎情報を提供します。 - 生成した見出し
記事の構成や方向性を定める見出しが生成されます。 - 生成した記事
実際にSEOに最適化された記事が生成されます。
読者の皆さんには、この3つの機能を順番に使用することで、より高品質な記事が得られることをお勧めします。この流れを活用することで、少ない入力でも精度の高いSEO記事を効率的に生成できます。
設定と使用方法
ここでは、DifyとGoogle Apps Script (GAS) を使ってSEO記事自動生成フローを構築するために必要な準備や設定、そして実際の使用方法を解説します。
1. フローを実行するために必要なもの
クラウド版Difyのアカウント
- 概要: Difyは、AIアプリケーションを簡単に作成・管理できるプラットフォームです。
- 準備: クラウド版Difyのアカウントを作成してください。
- URL: https://cloud.dify.ai/signin
スプレッドシートとGASのセットアップ
- 概要: Google SheetsとApps Scriptを利用して、自動生成したSEO記事を保存・管理します。
- 準備: 指定のシートを自身のGoogleドライブにコピーします。元のシートは変更せず、「ファイル」→「コピーを作成」で自身のドライブに保存してください。
- URL: https://docs.google.com/spreadsheets/d/1NpTAUVKxVD6r3YWNH_dVY6UrtZOBZaBPYkG5ATwMk0M/edit?usp=sharing
Dify ワークフロー
- 概要: Difyを使ったワークフローのテンプレートです。
- 準備: テンプレートファイルをダウンロードして、Difyでインポートします。効率的なセットアップが可能です。
- 弊社のフォームからダウンロードして、使用してください: https://theinfitech.com/seo-article-autogen-dify-genai-workflow/
SerpDev APIキー
- 概要: SerpDevは、検索エンジンの結果をAPI経由で取得するツールです。
- 目的: 最新の検索結果を利用して、AIがより精度の高い回答を生成します。
- 準備: SerpDevのアカウントを作成し、APIキーを取得します。
- URL: https://serper.dev/api-key
LLM APIキー
- 概要: GeminiやChatGPTなどのLLM(大規模言語モデル)を使うためのキーです。
- 目的: 高度な自然言語処理に必要なAPIキーです。
- 準備: GeminiのLLM APIキーを取得します。
- URL: https://aistudio.google.com/app/apikey
Tavily AI APIキー
- 概要: Tavily SearchはAI向けに最適化された高速で正確な検索エンジンです。
- 目的: 手動検索の手間を省き、コンテンツ生成や自動応答をサポートします。
- 準備: Tavily SearchのAPIキーを取得します。
- URL: https://app.tavily.com/home
2. 実装手順
Difyでワークフローをインポート
- 手順: ダウンロードしたファイルをDifyで開き、「DSLファイルをインポート」からワークフロー設定ファイルを選択してインポートします。
LLM APIキーの設定
- 手順: Difyの右上メニューから「設定」→「モデルプロバイダー」に進み、Geminiのセットアップを行います。
Google Serp Devの設定
- 手順: Google Serp DevのAPIキーが入力されていない場合、Serpブロックをクリックすると以下の表示が出ます。「承認するには」のボタンを押し、APIキーを入力して設定します。
Tavily SearchAPIきー
- 手順: こちらも同じに、APIキーが入力されていない場合はブロックをクリックし、「承認するには」のボタンを押してAPIキーを設定してください。
DifyのAPIキー取得
- 手順: Difyの「APIアクセス」→「APIキー」からAPIキーを作成し、GASとDifyの連携に使用します。
GAS(Googleスプレッドシート)の設定
- 手順: コピーしたスプレッドシートを開き、Dify APIキーを設定します。シートのツールバーの「メニュー」をクリックし、「APIキーを設定」をクリックしてください。
- そうすると、GASスクリプトがリサーチ結果や記事内容をGoogle DriveのDocsファイルへ出力、保存できるように警告が出てきますが。
- 左側にある「詳細」ボタンをクリックして、下記のようなボタンが表示され、そこにクリックしてください。
- それで、下記のような権限をリクエストの画面に遷移し、ここで「許可」をクリックしてください。
- 許可が完了する、下記のDify APIキーを設定するためのPOPUPが表示されます。ここでDifyから取得したAPIキーを入力し、「OK」をクリックしてください
このポップアップが表示されたら大丈夫です!
3. 使用方法
こちらが元のGoogleスプレッドシートの画像です。
操作
スプレッドシートの「目的」列で、使用する機能(リサーチ、見出し生成、記事生成)を選択します。RETRY列が空白または「TRUE」になっている状態で、ワークフローが実行可能です。
うまく設定できれば、下記のようなMy DriveにDocsファイルが出力され、リサーチや生成した内容を保存されます。
RETRYの仕組みについて解説
このブログの目的は、誰でも無料でSEO記事の自動生成フローを実装できるようにすることです。そのため、フローには無料のツールを組み合わせていますが、それぞれのツールにはAPI呼び出しの制限があり、いくつかの制約が発生します。また、生成AIのプロンプトエンジニアリングとプログラミングを組み合わせているため、実行に時間制限があり、すべての結果が完璧であることを保証するのは難しい場合もあります。
ワークフローの実行後、API制限やシステムエラーでDifyが情報を抽出できなかった場合などには「RETRY」を使います。特定の行の再実行が必要な場合、「RETRY」列に「TRUE」を設定してから「企業分析を実行」ボタンを押すことで、再試行が可能です。
エラーや再実行の対応
- 自動リセット: 実行が完了すると「RETRY」列は自動的に「FALSE」にリセットされるため、次回の分析で再試行が不要な行はスキップされ、効率的にリソースを節約できます。
- 無駄なAPI呼び出しやLLMトークンの消費を防止: 「RETRY」列を適切に活用することで、必要な箇所だけを再実行し、ツールの利用制限やコストの浪費を抑えることが可能です。
この「RETRY」の仕組みを理解し、状況に応じて「TRUE」「FALSE」を設定してからフローを実行することで、効率的かつ確実な結果を得られます。
入力を完了したら、「メニュー」→「実行」を押して、Dify、SEO、生成AIの連携による各機能を体験してみてください!
ワークフローの設計や構築についての解説
ここでは、SEO記事自動生成ワークフローの各機能の詳細と、構築に用いたプロンプト技術やGoogle Apps Script(GAS)の役割について解説します。Dify AIを使って自動化プロセスを構築することに関心のある方は、以下をご参考にしてください。
1. Difyフローの解説
このワークフローは、「リサーチ」、「見出し生成」、「記事生成」という3つの主要なステップで構成されています。
リサーチ
このステップでは、競合サイトを分析します。Google Sheetsに入力されたキーワードを基に、Tavily Searchでリサーチを行い、キーワードに関連する記事と参照リンクを取得します。
- リンク抽出: Tavily Searchで収集したリンクをJina Readerに渡し、各リンク先の内容を抽出します。
- 内容の要約: 抽出した情報を元に、LLM(大規模言語モデル)がSEO記事の特徴を分析し、記事生成に役立つ情報を要約します。
見出し生成
このステップでは、記事の骨組みを形成する見出しを生成します。キーワードやユーザーの追加指示をもとに、LLM AIがガイドラインに沿った見出しを提案します。これにより、記事の構成が決まります。
記事生成
このステップでは、キーワードと見出しに基づいて記事本文とタイトルを生成します。
手順1: 記事本文生成
- 見出し分割: 提案された記事構造の各見出しに基づき、段階的に本文を生成します。
- 関連キーワード生成: キーワードに関連する5つの類似キーワードを自動生成し、SEO最適化に活用します。
- 内容生成と統合: 各セクションの内容が生成された後、一貫した流れを持つように統合し、読みやすい文章に仕上げます。
手順2: タイトル生成
Googleで高評価の関連記事のタイトルを参考に、LLM AIが魅力的でSEOに適したタイトルを作成します。
2. プロンプト技術の理解
Difyフローのプロンプトには、特定の戦略を使って精度を向上させています。
メタスキーマ戦略
- 概要: メタスキーマは、AIが従うべき出力形式や要件を体系的に定義する方法です。JSONスキーマを使うことで、情報を標準化し、一貫した出力を保証します。
- ステップ:
- 役割定義: AIの役割(例:「SEOライター」「分析者」など)を設定します。
- 要件設定: タスクの注目情報(例:5つの関連キーワードの抽出とJSON形式の出力)を指定します。
- 出力項目の説明: JSONスキーマで出力の構造を定義し、AIの応答が一貫性を保てるようにします。
- 結果評価: 出力が要件に合致しているか確認し、必要に応じてプロンプトを調整します。
デリミタを使った区別
- 概要: デリミタ(区切り文字)でプロンプトの要素を分け、AIが明確に理解できるようにします。
- ステップ:
- 目的設定: 主要なタスクとその要素を明確化します。
- デリミタの使用: XMLタグなどのデリミタを使用し、入力の各セクションを分けます。例として、<article>タグを使い、AIが各部分を識別しやすくしています。
3. Google Apps Scriptの理解
Google Apps Script(GAS)は、Google SheetsとDifyの連携を管理するために活用しています。
操作の流れ:
- ユーザーはGoogle Sheets上でセルに値を入力し、「実行」を選択します。
- 目的の選択: 「目的」列で選択した機能に応じて、Apps Scriptが適切な関数を実行し、入力をDify AIに送信します。
- 結果の表示: Difyから結果が返されると、Apps Scriptが自動的にその結果を対応するセルに反映します。
- Apps Scriptのコードは、「Extensions」→「Apps Script」で確認可能です。この自動化により、手動での入力や出力管理が不要になり、効率的にSEO記事を生成できます。
終わり
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
今回は、DIFY x GAS x 生成AIを組み合わせてSEO記事生成を自動化するワークフローについてご紹介しました。改善のアイデアやご意見があれば、ぜひお聞かせください。
また、THEINFITECHはSEO記事生成のSaaSプロダクト開発実績があり、こちらに共有する内容よりも様々な工夫しないといけない難易度が高い機能の開発も含めて支援しております。例として、以下のような機能を開発しております。SEO専門家と組み合わせて、機能やシステムのUI・UXを提案しながら開発を支援させております:
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参照
SEO記事作成の流れについて
「DifyでSEO記事を生成するフローを作成してみた」、https://note.com/riku0423/n/nd63719377642
「SEO記事制作の流れ 3つのフェーズと業務プロセス」、https://curiver.com/contents/34275/
プロンプトエンジニアリングについて
「DifyでSEO記事を生成するフローを作成してみた」、https://note.com/riku0423/n/nd63719377642
「Prompt generation」、https://platform.openai.com/docs/guides/prompt-generation/schemas
「Prompt engineering」、https://platform.openai.com/docs/guides/prompt-engineering/tactic-use-delimiters-to-clearly-indicate-distinct-parts-of-the-input